城崎にて
2泊目は宿での夕食を断って親しい先輩同僚5~6名で街に繰り出しました。昔ながらの街並みを楽しみつつ軽く飲んだ後、ラーメンでも食べようということになりました。夏の夕暮れ時、裏通りに入ると少々妖しげなお店の明りがちらほらとあります。ラーメン店をみつけると食通の先輩が「ええか、こういう地の人しか行かへん店がホンマに旨い店なんやで」と自信満々の体で暖簾をくぐります。(後から考えると別に先輩は地の人ではなかったのですが)
最初は店のレトロな雰囲気と先輩の強烈な暗示もあり、一応うまいと感じたようです。(後で聞くと私だけだったようですが)しばらくすると麺がユルユルで箸でつまむとブツブツ切れる、具材が古そう(もやしのみ新鮮でした)、スープがぬるいと、「果たしてこれがうまいのだろうか」という深刻な疑問を持ちました。気が付くと出されたものは完食するというのがポリシーの同僚一人を除き、みな箸をおいています。旨いどころか途方のなくまずいラーメンだったようで、完食した同僚に後で話を聞くと「ほとんど罰ゲームやったな」とのこと。
事務所に帰ってから、そういえば店に入った時から湯切りに麺をいれたまま釜でぐらぐら煮ていた、白い粉(味の素?)をやたら丼にぶち込んでいた、等々の話があり、くだんの食通の先輩は「あれでもやしが古かったら完璧やったな」という一言で一同大笑いしたものです。それから昼飯時、城崎のラーメンの話で何度も盛り上がりました。それとカップラーメンが如何に有難いものであるか、というのが身に沁みました。そう考えると「まずいラーメンにも社会的価値があるというべきか、はたまた枯木も山の賑わいというべきか」、そういう話をしていると先輩から一言「お前はアホか」。 N